生誕150年 ジェームズ・アンソール版画展

姫路市立美術館が所有している油彩、素描、版画などのアンソールの作品のほか、アンソールの主要な版画作品および彼に影響を与えた画家と版画家の作品を展示します。ジェームズ・アンソールは、1860年生まれのベルギーの画家で、2010年に生誕150年を迎えます。初期にはくすんだ色で一種のリアリズム的な題材を扱っていましたが、やがて原色を多用して仮面や骸骨の登場する寓話と風刺に満ちた独特の幻想的世界を展開し始めます。こうした作風は、同時代の批評家から非難の対象になっていましたが、次第に認められるようになり、晩年には男爵の爵位を得ています。その後フラン札にその肖像が使われたり、小惑星にその名がつけられたりと、ベルギーの国民的画家となりました。

今日では、表現主義やシュルレアリスムといった20世紀を代表する芸術運動の先駆者として、高く評価されています。油彩作品に注目が集まりがちですが、版画家としても優れた技量を持ち、数多くの作品を残しています。油彩作品が批判されていた頃でさえ、版画作品は高い評価を得ていました。また、独特の幻想世界も、もともと版画作品が育んだものだと言われています。

姫路市立美術館では、油彩、素描、版画など70点のアンソール作品を所蔵しています。本展では姫路市立美術館のコレクションを中心に、アンソールの主要な版画を一堂に展示し、また彼の作品に影響を与えた画家と版画家の作品も展示します。総出品点数は約130点を予定しています。

主な出品作品:
カテドラル
キリストのブリュッセル入城
ホップフロッグの復讐
天使と大天使たちを鞭打つ悪魔
版画集「愛の調べ」
骸骨としての自画像(兵庫県立美術館蔵)
参考出品 油彩と素描:
薔薇
果物、花、裸にされた花
オステンドの女
商人を神殿から追い出すキリスト(以上 姫路市立美術館)
キリストの誘惑(伊丹市立美術館)
回復期の女(伊丹市立美術館)

2010年3月13日 – 2010年4月11日
場所 姫路市立美術館 企画展示室